マイクラダンジョンズ

イクラを冠するタイトルだが、クラフト要素一切なしのゴリゴリのハクスラゲーがマイクラダンジョンズだ。ちなみにハクスラとは「敵を倒す→強い装備をゲットする→さらに強い敵を倒す→・・・」をひたすら繰り返すゲームジャンル。

敵がドロップする装備品にはランダムで「ダメージ〇%UP」や「攻撃速度〇%UP」等の効果が付与されており、この組み合わせが良いものをゲットするのがハクスラの目的だ。また相性のいいもの同士を装備することを「ビルド」と言い、手持ちの装備でビルドを考えるもの楽しみの一つである。

そんな訳なのでマイクラダンジョンズにおいてマイクラの部分はグラフィックのみであり、クラフトはおろか物を置くことすらできないのでマイクラとは完全に別ゲーである。

システムとしてはストーリーはおまけ程度で、基本的にはキャンプから行きたいダンジョンを指定し、ダンジョンでボス的なものを倒したら再度キャンプに戻ってくるの繰り返しだ。

作業感が強いが、この作業が面白いというのが何よりハクスラの特徴である。

シンプルだが多彩な戦略
近接武器+弓が基本攻撃となり、それに加えて3つのスキルをセットできる。近接と弓は2者択一ではなくどちらも常時使用できるが、ビルドによって近接特化・弓特化で遊んでみるもの面白い。

近接にも手数が多いダガーや、攻撃範囲に優れるグレイブ(槍)などで個性があり、武器によってモーションも違うのが嬉しい。

一方弓にもチャージが強い弓や、3方向にショットガンのように打てる弓、連射がきく弓などこちらも多彩だ。ただ弓は矢を消費するため、弓中心で戦うなら矢を補給できる効果が付いた装備が必要になるだろう。

またこの2つとは別に3つのスキルを装備でき、近接や弓を一時的に強化したり、回復したり、呪文のように攻撃できるスキルや一緒に戦ってくれるMobを召喚するスキルなどもある。

どの武器どのスキルで挑むかはプレイヤー自身で決められるが、同じ武器でもランダムで付与されている効果が違うので、その組み合わせで頭を悩ますことだろう。この取捨選択がハクスラの面白い部分だ。

やっぱハクスラって楽しいよね
イクラダンジョンズをプレイしてみて思うのはやっぱりハクスラって楽しいよねということ。とにかく無心で敵を倒し、ドロップした装備のステータスを確認し、ああでもないこうでもないとビルドを思案する。

特に本作はハクスラが初めてという人向けに作られており、仕組みはかなりシンプルで理解しやすい。

とはいえ攻撃ボタン連打するだけでクリアできるかと言うと、ボス相手にそれは通用しない。ボスだけはしっかりモーション見なければ勝てない絶妙なバランスだ。

またグラフィックはマイクラそのものなので、ハクスラ特有のダークな世界観ではないのもポイント。当然マイクラを全く知らなくても問題ない。

この良質なハクスラ入門を3,000円以下で体験できるとあれば、十分買いだ。特にハクスラ未経験者にはおすすめで、是非ハクスラの沼へと一歩足を踏み出してほしいと思う。

でもハクスラ経験者にはちょっと薄味
さてここからはハクスラ経験者向けのレビューとなる。

ハクスラ入門としては素晴らしいが、ジャンキー漬けになったハクスラ経験者からするとさすがに薄味かなと思う。本作では身に着けられる装備は3つで、その他にスキルを3つセットできる。スキルはドロップだが、ランダムの付与効果はないため威力のみが変わる。

となると実際装備厳選は3種のみで、さらにジョブもなければ、レベルアップによるパッシブ等のスキル獲得もなく、ビルドの幅は狭いと言わざるを得ない。

キャラは複数作れる仕様だが、如何せんジョブもスキル獲得もないため複数キャラを作るメリットは現状皆無。1周目は5時間もあればクリアできてしまうので、とにかくハクスラ入門という感じだ。

一応ライフ吸収の脳筋殴りビルドやペットビルド、キャスタービルド、サポートビルド、高速周回ビルド等ジャンキー漬けもニンマリのビルドの基本はしっかり押さえられている。

価格も抑えめなので手を出してもいいとは思うが、筆者は本作プレイ後に物足りなさを感じ結局久しぶりにGrim Dawnをプレイすることとなった。

デザインはマイクラダンジョンズに見習うべき
一方で他のハクスラに比べデザインは非常に見やすくていい。敵キャラは色分けができており、誰がいてどんな攻撃をしてくるかが瞬時にわかる。強いMobは兜を被っていたり、黒色の防具を装備していたりと簡単に見分けがつく。

そのためハクスラあるあると言える「なぜ死んだのかがわからない」「誰が何をしてるのかがわからない」ということが少ない。

またボスも予備動作がしっかり読み取れるし、ボスの個性もはっきりしている。ハクスラのわかりづらい部分を徹底的にわかりやすくする努力が見て取れるのは非常に素晴らしい。

特にハクスラのボスは見た目も中身も似たり寄ったりで、ボスが何か叫んだ後に隕石が降るか、竜巻が出るか、マグマが吹き出るか程度の違いでしかない場合も多いので、その点マイクラダンジョンズのボスデザインは目を見張るものがある。

ハクスラ初心者には間違いなくオススメ
そんなわけでハクスラ初心者には間違いなくオススメのゲームとなっている。ハクスラの基本は押さえてあるし、ゲームバランスも素晴らしい。グラフィックも見やすく、価格も相まってハクスラ入門にはもってこいだ。

ただクラフトや冒険、ストーリーを期待しているなら避けた方が無難。とにかく敵を倒して装備をゲットするゲームなので、マイクラとは完全に別ゲーである。

一方で「ソケット多めアクセサリーマシマシで!」みたいなハクスラジャンキーには物足りない内容なのは否めない。それでもハクスラジャンキーは常に新しいハクスラを求める習性があるので、薄味覚悟でプレイしてみる分にはいいだろう。ちゃんとハクスラの芯は食っている。